大家好,我是Kyo桑。
這篇是難得與弓道毫無關聯的文章集。自2018年12月起,關於「完璧主義の人?」的週刊式連載,Kyo桑依著個人經驗、所見所聞、價值觀等撰寫了40多篇相關文章。老實說,這當中包含著90%自省以及10%自豪。反省的事情就不說了,一說下去會不小心出一本屬於Kyo桑的《四十自述》…….。
但若稍為提到那10%的自豪,那還真的是因為2017年中的一個小念頭,開始了這為時一年的連載。從中Kyo桑也因著撰寫文章的過程,對於自己的工作模式、管理方法、日語行文能力等也有所調整。更從許多讀者們的反饋中,感受到各位的期許、鼓勵,以及成長。
或許,Kyo桑本人才是最大受益者也說不定。
最後,日前曾寫了篇「與其萬卷書,不如身懷一技」的文章。Kyo桑認為或讀過萬卷書,才有機會真能以自己那身懷的“一技”來取得屬於自己的"天下"。一個人的成長可以經過時間、空間來調整,更可以透過生活的濃度來加以變化、蛻變。
本連載の目的は、「力の入れどころと抜きどころ」を見極め、努力を高い成果に結びつけるための思考、行動習慣をお伝えすることでした。
それらがわかることで、むやみに自分を追い込まず、少ないストレス・時間で成果を上げられる最善主義に変わっていくのでしょう。私達、ESR Chinaのスタッフはキャリアコンサルタントとして、「習慣を変えれば仕事と人生の質が変わる」をモットーに、良い仕事習慣を身につけ、悪い仕事習慣をやめることを、さらに認知行動科学理論を加え、日々実践し、内面(社内)強化に専念してきました。
仕事の効率・効果は思考と行動習慣の結果に左右されます。個人的な意見や経験などによるものなのですが、本連載の各項目の実戦内容をぜひ参考してみてください。
完璧主義から最善主義へと移行し、“劇的”な成果をあげる結果につながれば幸いです。(少なくとも私はそうなりつつある)
最後までお読みいただきありがとうございました。
己亥年 臘月
Kyo
完璧主義は悪いのか?
完璧主義の人は、「きちんとやり遂げる」「細部にこだわる」ことに美徳を感じており、それ自体は間違っていません。完璧主義には、当然メリットもあります。
・仕事がちゃんとできる気がする
・達成感を得られる。自分が満足できる。
・頑張ろうという向上心がある
・人に認められる。尊敬される
・ミスがなくなる
・自分が安心できる
・頑張ったと思える
・完成度が上がる
完璧主義の人は最善主義に移行すると、これらのメリットが失われるのではないかという恐怖心があるのでしょう。私も完璧主義の代表の一人なので、心情はよく理解できます。しかし、今週から本公衆号の水曜シリーズは「最善主義」に突入します!ここでいう「最善主義」とは、力の入れどころと抜きどころを見極めて、より無駄をなくし、最大の結果を出そうとすることです。周囲からの評価や成果も結果的にたまります。
過剰な完璧主義はビジネスでは弊害になる
大リーグのイチロー選手(大好き♥)が理想とするバッティングフォームは究極の美であり、それの探求はまさに完璧への飽くなき追求です。
日本一の天ぷら職人の早乙女哲哉さんは、30年、毎日理想の揚げ方にこだわり、うまくいかなかった時のことを振り返っています。
黒澤明監督にしても、アップルのスティーブ・ジョブズにしても過剰なほどの理想主義であり、完璧主義でした。それが彼らの卓越した成果につながっています。
しかし、一般のビジネスパーソンにとって過剰な完璧主義はむしろ悪営業をもたらすと私は考えています。
アスリートや職人のような職業は、自分のこだわりや理想への飽くなき追求が、人を感動させる仕事につながります。
しかし、一般のビジネスパーソンはひとつの仕事に没頭するというより、多くの仕事が次々と舞い込み、同時に多数のプロジェクトを進める必要があります。その過程では常に優先順位を変え、プロセスを最適化することが求められます。そして、限られた時間で成果を出す必要があります。つまり、過度の完璧主義はプロセスの最適化を邪魔します。
完璧主義は性格ではなく、習慣
「でも、完璧主義って性格じゃないの?」
これはよくされる質問でしょう。
私は「完璧主義は性格ではなく、思考習慣だ」と断言できます。これからは水曜シリーズの場を借りて行動習慣、身体習慣、思考習慣を変えるための知識・知恵を基に、ストレスを減らすための思考習慣の体系をお伝えしていきます。
よろしくお願いいたします。
完璧主義の3タイプ
完璧主義には大きく分けて3つの傾向があります。これは私が候補者をコンサルティングする中で、思考傾向を分類したものです。それぞれの要素をご説明しましょう。
<思考傾向1>二者択一の判断
この傾向が強い人は、100点か0点か、と極端に考えて失敗を過剰に怖がります。また、できなかったことを過大視して自分を責め、自己嫌悪に陥ることがあります。とてもきちんとしていて正確性にこだわる性格ですが、状況に応じて柔軟に自分の計画や行動を変更するのが苦手です。
<思考傾向2>過度の理想主義
この傾向が強い人は、理想主義でどんな仕事にも高い行動基準、完成基準を設けます。結果、一つの仕事の完成に多くの時間がかかりがちです。簡単に妥協してハードルを下げることに強い抵抗感があります。
<思考傾向3>否定の恐怖
この傾向が強い人は、人からの拒絶や評価を気にしすぎるあまり、空気を読みすぎて行動できなかったり、決断できないことがあります。
あなたはどの傾向が強かったでしょうか?これからは完璧主義思考の人に見られる傾向を3つに分けたものですが、人によってバランスは異なります。これからの水曜シリーズはそれらの傾向に対して「より上手」に仕事をこなしていく方法を整理していきたいと思っています。よろしくお願いします。
第1章 頑張ること自体に美徳を感じていないか?
01 「短時間で効率的」に仕事を終える
完璧主義の人は、頑張ること自体に美徳を感じている。
上手に力を抜く人は、頑張らないで結果が出ることに美徳を感じている。
Aさんは、新入社員の時から、どれだけ長く働いたか、どれだけ忙しいかを誇りにしていました。
退社が深夜0時をまわることは日常茶飯事で、いつもよる遅くまで提案書を書いていました。
当初、上司も努力する姿勢を褒めてくれていたのですが、ある時、昼食に向かう途中、「昨日も2時まで会社にいてほぼ完徹ですよ」と誇らしげに話したら、「お前、会社に長くいることが仕事だと思っていないか?残業が癖になっていないか?」と言われたのです。
そう、「たくさん働くこと」「頑張っていること」が美徳になっていたのです。
昔からそうでした。どれだけ勉強を頑張ったかは時間で計っていましたし、テスト対策を効率よくやって点数を取る人を邪道だと思っていました。
しかし、結果を出しているわまりの人を見てみると、任せるべき仕事は上手に人に任せ、昼間に集中して大切な仕事を終わらせて、19時以降は各自プライベートを楽しんでいたのです。
「汗の数だけ結果が出る」は嘘
レバレッジコンサルティングの本田直之さんは、独立前はベンチャー企業の実質経営者として上場までさせた多忙な時期でも、夜は19時ぐらいには仕事を切り上げ、その後は外で人と会って食事したりして短時間労働に努めたそうです。
本田さん曰く、「会社にいたからといってどうなるわけでもないので、やっぱり外に出ていかないと」とのことです。
レバレッジの達人、本田さんらしい発想です。
上手に力を抜く人は、頑張らないで結果が出れば、それこそ素晴らしいと考えているのです。
そう言うと、「楽しんでいる」「怠けている」と感じがちですが、頑張らないで結果が出ると言うことは、少ない労力で大きな結果を出すアイディアや工夫ができると言うことなので素晴らしいことなのです。
頑張りすぎる人は非効率になりがちです。なぜならば、頑張っていることそのものに美徳を感じており、効率の良い新しいやり方を見出せない傾向にあるからです。
頑張ることへの美徳を減らし、無駄に頑張らずに結果が出てもいい、結果を出す工夫をしようと決意することから効率アップが始まるのです。
実践
1、最小限の時間で結果を出す方法を考える
2、最善主義の人と一緒に仕事をする
02 無制限に頑張っていないか?
完璧主義の人は、無制限に頑張る。
上手に力を抜く人は、制限を設けて頑張る。
「日本のチームは練習のしすぎだ。練習時間を週に3回、2時間にする」
神戸製鋼で7連覇を達成した伝説の元ラガーマン、平尾誠二さんが日本代表監督になった時の最初の方針です。その理由を次のように語っていました。
海外の強豪チームの練習時間は日本より圧倒的に短い。日本だと5、6時間練習するところを海外だと2時間です。
しかし、練習の密度が全く違います。日本は6時間で力の全てを使い切るように練習するので、ある意味、時間あたりに発揮する集中力が低いのです。
逆に、海外の強豪チームは練習時間が2時間なので、最初から猛烈な動きで練習します。
ラグビーの試合は、40分ハーフの合計80分です。海外の練習が合理的なのは、試合時間とほぼ同じで、その時間内で高い集中力を発揮するところにあります。
本番と同じ緊張感でエネルギーを出し切る練習をしているのです。平尾監督は、日本人選手はいざという時、集中力を最高潮に持っていく力が弱いと考え、練習時間を短くして、その分、密度を高める改革をしたのです。
単位時間あたりの集中力はどれぐらいか?
平尾監督の改革は、単位時間あたりの集中力をいかに高めるかがポイントです。その、試合の時の集中力を最高潮に持ってくるというやり方は、そのまま私たちの仕事にも転用できるのではないでしょうか?
完璧主義の人は、頑張り屋で全てに全力投球しますが、長時間働く割りに生産性が低い傾向があります。
一方、上手に力を抜く人は、一気に集中して短時間で済ませようとします。
単位時間あたりの集中力が低い人と高い人では、生産性が全く違います。3倍以上の開きがあるケースも多々あります。
「未来工業」という、非常に生産性の会社があります。この会社がユニークなのは、残業禁止というところです。朝は8時30分出社、17時40分には退社します。
この時間内で仕事が終わらないなら、何が原因か、どういう改善が必要かを常に考え、最適化し続けるといいます。だから、生産性が向上し続けるのです。
制限時間を設け、その時間に何がなでも終わらせる執念を持って工夫すると、仕事の効率は全く変わるのです。
実践
1、働く時間に制限を設ける
2、集中力の精度を高める
03 丁寧すぎてスピードが遅くなっていないか?
完璧主義の人は、丁寧すぎてスピードが遅い。
上手に力を抜く人は、多少粗いがスピードが速い。
ビジネス書を900冊以上書いている中谷彰宏さんはスピードの達人です。
例えば、会議は立ってやるとのこと。座ると余計な無駄話が始まり、決断に時間がかかるからです。それどころか、コートも脱がないで会議を始めます。終わったらすぐに外出するつもりだからです。
企画書は10分で書けと言います。10分なんて無理だといいたくなりますが、大切なのは企画内容であって、丁寧にパソコンで資料をまとめることではありません。その場で紙に手書きして企画書とするのです。
また、経営コンサルタントの神田昌典さんが中谷さんに対談を依頼した時の話があります。
依頼をした当日に、超多忙な中谷さんからファックスで自筆のお礼状が届いたというのです。そこには「かねてよりお会いしたいと思っておりました」と感謝の気持ち溢れる言葉が添えられていたそうです。
それを見て、神田さんはとても感動しました。超多忙な中谷さんから、当日に、まさか手書きでお礼状が届くなど予想もしていなかったからです。
早いと遅いでは期待値が変わる
この話のポイントはスピードです。神田さん曰く、決してお礼状の字は丁寧で綺麗ではないのですが、速いことが嬉しかったとのこと。
速いというだけで、満足を得られるのです。逆に、時間が経てば経つほど、質の高いものを期待されます。
完璧主義の人は、「丁寧に仕上げて出そうとします」。これ自体が悪いわけではありませんが、スピード対応をした方が喜ばれることも多いのです。
先程の中谷さんのように、企画書はその場で提出、会議は10分で終える、お礼状はすぐにファックスするなど、一つの作業にかける時間は短くて粗くても、「速いこと」で大きな満足を得ることができます。
例えば、社内会議の議事録は早ければ、多少文章がおかしくても読む側の印象はそれほど悪くありません。全員が記憶の新しいうちに振り返りチェックすることができるなど、メリットがあるからdす。
しかし、1週間経ってから提出すると、「遅かったね」「もう少し速く出して」と、不満に思われます。同じものを出しても、速いか遅いかで評価は随分と違うのです。
実践
1、形にこだわらず、速く出す工夫をする
2、リスクが少ないものから始める
04 タイムプレッシャーを嫌っていないか?
完璧主義の人は、タイムプレッシャーを嫌う。
上手に力を抜く人は、ギリギリを上手に活用する。
「仕事の量は、完成のために与えられた時間を全て満たすまで膨張する」
これは、1958年、英国の歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンの著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』の中で提唱された法則です。
この理論が語っているのは、ある仕事を行うにあたり、余分な時間が与えられると、人は与えられた全部の時間を無駄なく使うために、仕事のペースを無意識のうちに調整し、生産性の低い仕事になることが多いということです。
このパーキンソンの法則は、もともと公的組織の非効率さを研究したものですが、時間効率を考える上で、非常に本質を突いた興味深い内容です。
裏を返すと「締め切り効果」を活用し、自分を追い込めば、その時間の範囲内で工夫をして仕事を終えることができるということです。
圧倒的に生産性を高めるのが「ギリギリ力」なのです。
ギリギリ効果で集中力・思考力アップ!
完璧主義の人は理想的なプロセスを踏みたいので、ギリギリよりも余裕がある方を好みます。もちろん、余裕があるからこそ、予期せぬトラブルにも対応できるというメリットはあります。
それを前提にした上で、あえて完璧主義の人には、重要度の低い仕事に関してはギリギリ効果を活用することをお勧めします。
「ギリギリ効果」を活用して仕事をすると次のようなメリットがあります。
- 集中力が一気に高くなる
- 余計な作業を省く思考が働く
時間が限られて理想的な手順を踏めなくなると、最も効率的なルートを再構築しなければなりません。この時に、仕事のやり方を見直す強制力が働きます。
結果、必要な作業とやらなくても良い作業を区分けする思考力が鍛えられます。
私は、わざととスケジュールをびっしりと埋めます。そうすると、締め切りが一気にやってきた時、、いつも通りのやり方では納期が守れないので、やり方の工夫を余儀なくされます。
このように自分をギリギリに追い込むことで、限られた時間内で多くの業務を最大効率で行う工夫をするようになるのです。
実践
1、あえて納期を早めに約束する
2、ギリギリになった時こそ落ち着いて計画する
05 “木"しか見ていないか?
完璧主義の人は、木を見て仕事をしている。
上手に力を抜く人は、森を見て仕事をしている。
目先のことだけにとらわれていると、結果的に足元をすくわれる場合があります。
例えば、依頼が来た順に仕事をこなしていくとします。作業依頼メールが来たらその作業をし、上司から資料を作成して欲しいと言われたらその仕事をする。
このように計画なく目先の仕事に振り回されていると非効率に陥ります。そして、1日を振り返った時に、結局抱えている重要な仕事に手をつけられず、「ずいぶん遠回りをしたな」「無駄なことをしたな」ということになってしまうのです。
上手に力を抜く人は、一週間、1日の計画をしっかり立てて目の前の仕事に集中します。一週間と1日の仕事の計画を立てることは、木を見つつも森を見る視野を持つことです。
例えば、目先の仕事について全体の仕事を考えると、「今やるべきか?」「優先順位はそのままでいいのか?」と考えるのです。また、仕事を依頼されたらしっかりと緊急度を確認し、場合によっては納期をずらす交渉もします。
そして、状況に応じて柔軟に、かつ主体的に優先順位を設定していくのです。
木を見て森も見る
完璧主義の人は、小さなことに焦点を当てすぎて、全体が見えない時があります。
結果、本当に重要なことを見逃していたり、仕事の状況が変わって、もう不要になったことをまだやり続けていたりすることがあります。
そこでまず起点となるのは、森を見ることです。
俯瞰していれば、物事の重要度がはっきりと見えますし、変化も見えてきます。
仕事は、状況によって対処すべきことが常に変わっていくものです。上司に依頼された時と今の時点では変わっている可能性があります。仕事をしながら進捗を見ておかなければなりません。目の前のことと一つに集中しすぎている自分を客観視することが重要です。
あなたの上司が課長なら、部長の視野から仕事を眺めてみましょう。2つ上の上司の視野から見ると、仕事の全体像が見え、「どこが大切なのか」「リスクはあるか」など、考えやすくなります。
また、もし自分が上司の立場で部下に「こと仕事を任せるなら、その意図は?」など、自分自身に質問してみてください。
実践
1、二つ上の上司の視野で考える。
2、自分が上司だったらと想像する。
06 あれこれ心配していないか?
完璧主義の人は、未来についてあれこれ心配している。
上手に力を抜く人は、今に集中している。
あなたは、一つの作業をしていても、突然他のことが気になってしまい、つい別のことにあれこれと手をつけて、非効率になってしまうことはないでしょうか?
完璧主義の人は、心配性の傾向があるので、「何か忘れていないか?」「大丈夫か?」と、あれこれ心配してしまいます。
私も以前は特にそうでした。(実に今も…)
資料作成をしていても、途中でメールの返信をしたり、漏れていた電話連絡をしたりしていました。
このようにマルチタスク(multitasking。同時併行で着手)で仕事をしていると、仕事を切り替えるたびに頭のギアチェンジをたくさんする必要があります。
そのため、集中力は散漫になってヘトヘトになり、結果、やりかけの仕事ばかりがたくさん残ってしまいます。
一方、上手に力を抜く人は、シングルタスク(singletask)で一つのことに集中します。
一つの作業をし始めたら、 横槍が入ってきても、「今、手が放せないから」と伝えて後に回し、緊急なら受けて、「返事は午後に返すね」と最優先の仕事を完了させることに集中するのです。
集中して一つずつ終わらせることで、余計なギアチェンジが必要なくなり、着実に仕事をこなしていくことができます。
集中の良い働き方はシングルタスク
仕事のギアを変えると、基本的に気持ちとモードの立ち上げに時間がかかり、エネルギーを消耗します。起動に乗るまでの時間もかかるので効率も悪くなります。
効率化のためには、シングルタスクで一つの仕事に集中することがポイントです。
完璧主義の人は、できなかったらどうしようという心配と不安を常に抱えています。
「Aの仕事は間に合うだろうか」「Bの仕事は本当に決裁がうまく通るだろうか」といつも心配が頭をもたげます。
何となく不安なことや、想定しきれていない事態へのおそれが奥に潜んでいて、それが起きたらどうしようと恐れるのです。
もし重要な仕事の途中で他の心配事が頭に浮かんだ時は、いったん紙に書いて脇においておくといいでしょう。書くだけで不安が解消しない場合、「何をする必要があるのか」「いつから手をつけるのか」まで書いておくと安心して手放せます。
実践
1、心配事などのノイズを減らす
2、一点集中力を高める
07 雑用も全力でこなしていないか?
完璧主義の人は、雑用も全力でこなす。
上手に力を抜く人は、雑用を省エネで行う工夫をする。
組織の中で責任あるポジションになれば、その分、仕事は増えます。
効率的に仕事を終えるには、雑用と重要な仕事とでメリハリをつけなければなりません。
しかし、完璧主義の人は、雑用でも上手に力を抜くことができません。
もちろん、力を抜くといってもいい加減にするというわけではなく、時間とエネルギーの配分の問題です。
メールの返信でも、社内、社外問わず、丁寧すぎるメールを送ったり、報告書の誤字チェックを過剰に繰り返すなど、無意識にミスの回避を目指すのです。
一方、上手に力を抜く人は、雑用を省エネで済ませる工夫をして、時間をかけないようにします。
銀行員の友人から聞いたエピソードを例に挙げます。
銀行の事務処理は、ちょっとした雑用の手続きであっても、ミスをすると問題になることが多く、だからこそ事務員は、緊張とプレッシャーを感じながら取り組んでいます。
そんな中で、絶対にミスをしない、それでいながら省エネで業務処理をしている優秀な事務員がいます。
その人に工夫のコツを聞いたところ、次のように秘訣を語ってくれたそうです。
「ミスをする箇所はだいたい決まっているし、間違ったらまずいところも決まっているので、そこを重点的にチェックするようにしているよ、
あと、過去のうまくいった例を参考にしながら、個別性の高い箇所だけを修正するようにしているんだ。
そうすると、テックすべきところが少ないから、楽にできるよ。」
省エネで仕事をこなすからといってミスをするわけではないのです。やはり、力の入れどころと抜きどころを知っていることが大切だと言えるでしょう。
毎回同じ労力でやるのは工夫がない
雑用にかける時間を少なくするには、スピードアップとやり方の工夫が不可欠です。
まず、一時間かかった作業を50分で終わらせてみましょう。その上で、省エネで効率的にできる方法を一度落ち着いて考えてみてください。
同じ雑用を同じやり方と同じ効率で繰り返していては、他の大切な仕事に使う時間を捻出できません。
実践
1、ルーティンワークについて省エネでできる工夫を考える
2、職場の仲間や本などから、雑用を工夫できる知恵を集める
09 まとまった時間で仕事していないか?
完璧主義の人は、まとまった時間で仕事をする。
上手に力を抜く人は、スキマ時間で細切れ仕事をする。
あなたのTo-Do-Listに、次のようなタスクがあったとしましょう。前提条件として、9-18時までの間に、2社へ訪問をする営業を想定しています。
・顧客A社へ訪問日程の調整電話
・上司への商談報告
・日報の作成
・B社への提案書作成
・メールの返信作業(20件)
あなたなら、どのように仕事を処理していきますか?
この中で、スキマ時間にできそうなことは、電話とメール返信です。
完璧主義の人の場合、そのほかの考える仕事はきちんと腰を据えて取り組もうと、オフィスでまとめて手を付けようとしがちです。
一方、上手に力を抜く人は、スキマ時間でもっと多くのことを済ませます。
たとえば、上司への報告は、外出先からメールで済ませておき、「詳細は帰って報告します」と打っておけば、報告時間は短くなります。
日報の作成であれば、訪問が終わるごとに追記していって、帰った時には最終チェックをするだけの状態にもできます。
B社への提案書は、
・提案のメッセージを考える
(移動の電車で考える)
・提案書の内容を手書きで書く
(訪問と訪問の合間にカフェで30分集中して考える)
仮にここまで手をつけていれば、帰社後、提案書をEXCELかPowerPointで作成するのみです。残業が少なく、効率がいい人はスキマ時間を上手に活用しているのです。特に外出の多い仕事だと、この差は大きく残業時間に影響してきます。
スキマ時間は意外に多い
私自身が営業パーソンとして反省してみると、スキマ時間は、移動時間、待ち時間を合わせて平均2時間はありました。
もちろん、この2時間は、30分まとまって時間がある場合もあれば、電車で移動中の10分や歩いている5分、車で移動中の20分など様々な場面の細切れ時間を合わせたものです。
だからこそ、オフィスの2時間とは異なり、使い方に工夫が必要と言えます。一緒に考えてみましょう!
最後に上記の例として、スキマ時間を活用するため、私の考えをお伝えしましょう!
・上司への商談報告
→ 外出先からメールで済ませる
・提案書作成
→ 電車内で提案のメッセージ(大綱)を考える
・日報の作成
→ 顧客訪問ごとに追記
・顧客A社へ訪問日程の調整電話
→ 移動中に処理
・メールの返信作業
→ 移動中に処理
実践
1、自分のスキマ時間がどれくらいあるか調査する
2、待ち時間、電車移動といった場面とタスクを結びつける
10 着手が遅く先延ばししていないか?
完璧主義の人は、着手が遅く先延ばしする。
上手に力を抜く人は、小さく始めてすぐやる。
人は、苦手な仕事や気が重たい重要な仕事は、なるべく手をつけたくないので先延ばしにしているでしょう(はい!そこのあなた!)。この原因は、心理的な負荷が大きくなると、それを避けたくなることにあります。
完璧主義の人は、最初から完璧をイメージして取り組み始めるため、苦手で気が重たい仕事は、なおさら先延ばしにします。
例えば、報告書を作成する時に、完璧主義の人は報告書が完成した状態をイメージします。そうすると、苦手な文章を書く作業、誤字脱字チェック、上司からのダメ出しなど、一気に面倒な手間が想像されるので、やる気が下がるのです。
一方、上手に力を抜く人は、少しずつ積み上げて、最終的に完成させればいいという発想があるので、最初の一歩を小さく始めることで、すぐに着手することができます。
先ほどの例で言えば、まずは報告書のレイアウト作りだけ集中して取り掛かります。
小さく始めると、ストレスは少なく、少しずつ次の工程に進み、いつの間にか終わっていたりします。しかし、止まっていると、どんどん気が重くなり、納期が近づくにつれ、ストレスも大きくなるでしょう。
タスクを細かく分け、5分でいいので手を付ける
すぐやる習慣を身につけるためには、心理的な負荷をいかに下げるかがポイントです。
そのためには、「チャンクダウン(Chunk Down)」と「ベビーステップ(Baby Step)」で始めることが有効的です。
チャンクダウン(Chunk Down)とは行動を小さく分けていくことです。例えば、「報告書を書く」をチャンクダウンしてみましょう。
①過去の報告書資料から良い例を探す
②箇条書きでたたき台をつくる
③先輩に意見をもらう
④本文を書く
⑤誤字脱字チェックを事務の方にお願いする
⑥最終チェックする
このように行動を小さくすることで、報告書を書くという大きな仕事のストレスから解放されて着手しやすくなります。
次に、ベビーステップ(Baby Step)です。これはハードルを下げて小さく踏み出すことを、「赤ちゃんの一歩で進む」というように例えた言葉です。例えば、上記の「過去の報告書で良い例を探す」という作業を5分だけやってみるといった具合です。
実践
1、チャンクダウンする
2、ベビーステップで始める
第二章 「効果的な工夫」で成果を高める
11 妥協することを許せないか?
完璧主義の人は、妥協することを許せない。
上手に力を抜く人は、戦略的に妥協して最適化する。
あなたは、次のような状況に置かれた時、どのように判断し、対応しますか?
現在15時で、19時から顧客との飲み会が入っています。この接待は今後の取引を発展させるため人重要です。移動時間を考えると、18時に会社から出発する必要があります。
今は、上司から依頼された経営会議の資料を作成していて、今日18時が提出期限です。予定通りいけば、残り3時間で情報収集、グラフ化、文章作成、最終チェックまでできそうです。
ここで突然、別の顧客から「商品が届かない」というクレームが入ってきました。工場とやりとりをして手配をし直さなければなりません。この作業に2時間はかかります。
完璧主義の人は、全てを完璧に進めようとして混乱します。
一方、上手に力を抜く人は、次のような工夫をするでしょう。(あくまで私の推論です)
始めに、3時間で5時間分の仕事を終わらせるやり方を考え出します。自力で全てを行うことは不可能なので、他人の力を借りるのです。
まず、上司に事情を説明し、経営会議資料を作成するメンバーを2名借ります。次に、自分が資料の大枠を作る作業を1時間で済ませ、情報収集やパワーポイントの資料作成はメンバーに任せます。Aさんに情報収集、Bさんにパワーポイント作成というように振り分けるのです。さらに、2人に同時並行で作業を進めてもらうことで、1時間で資料ができます。
その間に納品トラブルの対応を済ませ、資料の最終チェックをして上司に提出します。
こうすれば、18時に会社を出て、顧客の接待に行くことができます。
大切なことは、すべて自分一人で当初の予定通りのプロセスを進めたいという気持ちを抑え、妥協しなければうまくいかないということです。
戦略的な妥協は最善主義の肝
上手に力を抜く人は、限られた時間で相手の要望を最大限満たすために、時間や人、エネルギーを効率的に使おうとします。そのために、戦略的に切り捨てたり、諦めたり、ハードルを下げたりと当初の予定を柔軟に変えていきます。
この最適化マインドがあれば、予定の変更は妥協ではなく、戦略的なものになるのです。
実践
1、トラブルなど状況に応じて妥協ポイントを見つける
2、限られた時間内で相手の要望を最大限満たすことを考える
12 すべて網羅しようとしていないか?
完璧主義の人は、すべて網羅しようとする。
上手に力を抜く人は、結果が出る部分を徹底する。
中高生の時、定期的に中間・期末テストがありましたよね。その時のあなたの勉強法は、次のどちらに近いですか?
・出題範囲の箇所を最初から順にすべて勉強する
・出題可能性の高い箇所を集中的に勉強する
完璧主義の私は前者でした。「何が出るかわからないから」「一応すべてに目を通しておかないと」という漏れへの心配・不安、努力への美徳、切り捨てることへの恐怖から、試験までの時間はすべての範囲を網羅的に勉強していました。全力投球で試験範囲を勉強しないと気が済まなかったのです。
しかし、後者こそが最善主義であり、上手に力を抜くスタイルです。目的は良い点数を取ることなので、出題可能性の高いところを見極め、優先順位をつけて勉強するのです。
これはテストを一つの例とした例え話なので、中長期的な学力という意味でどちらが正しいかはここでは置いておきましょう。ただ、仕事や人生において、やりたいこと、やるべき事のすべてを網羅しようとすると、結局どっちつかずになってしまし、限られた時間で大きな成果を出すことは難しくなります。
影響力の大きい仕事に注力するのが重要
パレートの法則をご存知でしょうか。80%の結果は20%の原因からもたらされるという法則です。多くの営業組織では、「上位顧客20%が80%の売上をもたらしている」というのが、弊社多くの業界で当てはまるでしょう。
しかし、完璧主義の人は、「20%の重要な顧客も大切だが、後の80%のお客様も大切だ」と、すべてのお客様に同じ労力で営業活動をします。結果、小口の仕事に追われ、常に忙しいのです。
一方、上手に力を抜く人は、上位20%のお客様に徹底したアプローチをします。また、上位20%になりそうなお客様の開拓に時間を使います。結果、限られた時間で大きな受注を得ることができます。
決して、80%のお客様を蔑ろにするわけではありません。ただ、活動にメリハリがなければ、大きな案件を失注し、成果は上がりません。大きい仕事に注力することは、営業活動だけでなく、すべての仕事の効率化につながります。
実践
1、20%の最重要ポイントを見極める
2、その他は覚悟を決めてある程度手放す
13 プロセス志向でないか?
完璧主義の人は、プロセス志向である。
上手に力を抜く人は、目的志向である。
私が大学の弓道部に入部したばかりで懇親会においての接待経験が乏しかった頃、現役先輩から、OB先輩のビールがなくなったらすぐに注ぐように、注ぐ際にビールのラベルを上に向くように、料理がなくなったらすぐに皿を下げるように細かい指導をされていました。
そして一通りの気遣いができるようになったある接待でのことです。
弓道部副将を務めていた私の大学二年生の頃、ものすごく世話になっているOB先輩との接待だったので、部内幹部先輩も同席していた会でした。
いつものように、ビールがなくなっていないかどうかと目を配り、「次、何にしますか?」「何か召し上がりませんか?」と勧めていました。
私は気を遣い、うまくやっているつもりでしたが、接待が終わって部内幹部先輩に飲みに連れて行かれ、こんなふうに言われました。
「お前は、気を遣うことが接待だと思っていないか?」
先輩は続けてこのように言いました。
「接待の目的は、OB先輩に楽しんでいただくことだ。お前のように気を遣いすぎると、相手にも気を遣わせてしまうので楽しめいないだろう。逆の立場ならどうだ?」
私はプロセスや手段にとらわれて、接待の本質である、先輩に楽しんでもらうことを見失っていたのでした。(上記の「OB先輩」を「お客様」に、そして「部内先輩」を「部長」に替えてみてください)
プロセス主義は視野狭窄を招く
私のように本質を見失ってしまう例は、形は違えど、あなたにも心当たりがあるのではないでしょうか?
特に完璧主義の人は、プロセスをきちんとしないと気が済まない人が多いので、本来の目的にかなっているかどうか、立ち返ってみることが重要です。
プロセスの完璧を目指すと、手順を正確にこなすことが目的化しがちです。
また、プロセスに没頭すると視野が狭くなり、結果として私のように目的や本質が見えなくなっていきます。
上手に力を抜く人は、目的を中心に考える習慣を持っています。目的から考えて必要なことだけにこだわることができるのです。
目的については、明確に言葉で答えられることが重要です。そのためには、「今回求められていることで一番重要なことは何か?」「相手はどんな資料をもらうと嬉しいのか?」といった質問を自分自身に何度も投げかけることを習慣にしてみてください。
実践
1、目的・本質を考え抜く
2、相手の立場で想像する
14 自分のこだわりからスタートしていないか?
完璧主義の人は、自分のこだわりからスタートする。
上手に力を抜く人は、相手のニーズからスタートする。
ある日、ある総合研究所でプレゼンテーション研修を行われました。
集まったのは「正式研究員昇進のためのプレゼン」を控えている受講生20名でした。
10分間のプレゼンに向けて事前に資料を作成してもらったのですが、受講生の資料を見ていると、多くの人の資料の冒頭が「自己紹介(長所・短所)」、最後の締めが「これからの課題」「展望活動」「研究所への提言」などとなっていました。つまり、研究員昇進のプレゼン資料になっていなかったのです。
なぜ、このような構成の資料になったかというと、それぞれが「自分をいかにアピールするか」「自分が何を伝えようか」というストーリー構成に独自のこだわりを持っていたからです。
そこでセミナーの講師は、次のような質問をしました。
「このプレゼンに出席する聞き手の目的は何でしょうか?」
すると皆さん、「うーん」と考え込んでしばらくして、「正式研究員に昇進させていいかどうか判断するためでしょうか」と答えが返ってきました。
まさにその通りで、聞き手は、研究員に昇進させるかどうかを判断できるだけの情報や内容が欲しいのです。
ここをスタートラインに考えると、データ分析能力、問題解決力、スケジュール管理能力など必要な項目が出てきます。
相手のニーズから考え直した結果、受講生の資料は圧倒的に魅力的になりました。
自分のこだわりの強さを脇に置く
このプレゼンの例では、受講生が、もしも自分のこだわりのままプレゼンしていれば、昇進の率は圧倒的に下がったでしょう。(もちろん、あくまでも推測です)
ここで問題は、自分達のこだわりにとらわれて、大切な聞き手のニーズが見落とされたことでした。
しかも、一度構成を決めてしまうと、周りからアドバイスを受けても自分のストーリーに固執してなかなか変更できないというケースもたくさんあります。
だからこそ、自分のこだわりを脇に置いて相手のニーズからスタートして考えるという思考習慣が必要なのです。
相手のニーズからスタートしていない仕事は、どんなに時間をかけて頑張ってもツボを外しているので効果は出ません。逆にニーズを明確に捉えている人は効果的な仕事ができるのです。
実践
1、相手は何を求めているのかを考える
2、ニーズから逆算して考える
15 「前例がない!」など言い続けていないか?
完璧主義の人は、前例通りに頑張る。
上手に力を抜く人は、独創的に工夫する。
以前ある注文住宅の営業マン・H君(かつての部内後輩)の例をご紹介します。
H君は、展示場に来場されたお客様と話をして、次のアポイントを取るというアプローチ方法で営業活動をしていました。しかし、一年近く経ってもあまりうまく売れず、焦りが空回りして、自分のスキル不足が問題なんだと自信をなくしていました。
そこで私は、「社内でトップの成績を挙げている三人にインタビューしてきてください」と課題を出しました。(まさしく、先輩として格好つけています…)
結果、共通していたのは「紹介をもらっている」ということでした。
ある一人のトップセールスマンは、不動産会社と提携して、そこからお客様を紹介してもらっていたそうです。
これだけで、年間の目標をゆうに超えるということでした。
ちなみに、展示場に来訪したお客様の成約率は2%で、この不動産会社からの紹介の場合は25%。
前者の営業をしていると、計算上、成約に至るのは50人に一人ですが、後者の紹介営業であれば、お客様の4人に一人から契約してもらえるということです。
スキルの差はもちろんあるでしょう。しかし、本質的な違いは、確率の悪い商談をたくさん繰り返すという活動にあったのです。
結果、H君は、紹介がもらえる先を開拓する営業活動を中心に据えることにして、効率が圧倒的に高まりました。
前例思考を捨てよう
完璧主義の人は、安心・安全のために前例主義で考える傾向があります。H君はそれにはまっていたのです。
一方、先の例のトップセールスマンは、信頼関係がなく購入意思が未確定なターゲットではなく、すでに紹介元との間に信頼関係ができていて、かつ購入意思の強いターゲットはいないかと考え、不動産会社とのパイプを強くしていたのです。
このように、前例や、皆と同じやり方ではなく、成果を出すための独創的な方法を考えることができれば、仕事の成果は高まります。
実践
1、最も成果を出している人にインタビューする
2、抜本的にやり方を見直すイノベーション方法を考える
16 弱点を克服しようとしていないか?
完璧主義の人は、弱点を克服しようとする。
上手に力を抜く人は、強みを活かす。
R.H.リブズ博士の『動物学校』というおとぎ話をご紹介します。
昔々、動物たちは、新しい世界の様々な社会問題を解決するため、学校を設立することにした。そして、学校を円滑に運営するため、全ての動物に、かけっこ、木登り、水泳、飛行の4科目の履修を義務付けた。
アヒルは、水泳成績は優秀だった。飛行もいい成績だったが、かけっこは苦手だった。それを補うために、放課後居残りをさせられ、水泳の授業時間まで削って、かけっこの練習をさせられた。やがて、足の水掻きがすり減り水泳も平凡な成績に落ちた。しかし、学校は平均的な成績で良いとされていたので、アヒル本人以外は、誰もこのことを気にかけなかった。
ウサギは、かけっこにかけては最初から誘導性だったが、水泳が苦手で居残り授業ばかりさせられているうちに、神経衰弱を起こしてしまった。
リスは木登り上手だったが、飛行の授業では、木の上からではなく、地上からとべと先生に強制され、ストレスが溜まる一方だった。疲労困憊の末、肉離れを起こし、やがて木登りはC、かけっこもDにまえ落ちた。
欠点修正に終始しない
完璧主義の人は、マイナス部分に目が行くので、自分の欠点が気になります。例えば、学校の成績で言えば、3や2の評価をいかに上げるかという発想になりがちです。確かに欠点修正、弱点克服はある程度バランスが求められる組織社会では必要です。
しかし、バランスをよくするだけで、成果を高めるには限界があります。
その証拠に、上手に力を抜く人は、強み・得意を活かしている人が多いです。
例えば営業パーソンで人と長くお付き合いすることが得意な人は、つながりを維持するために、お客様と交流会の場を持つようにしています。
行動力が強みな人は、たくさんの見込み顧客と会う戦略をとって、とにかく動くことを武器にしています。
緻密な戦略を練ることが強みな人は、成約率が高まる戦略を徹底して考えて、無駄のない動きをしています。
それぞれの強みに合った方法をとっている人は圧倒的な成果を出しているのです。
ちなみに、正解はひとつではなりません。
実践
1、強み・長所を発見する
2、強みを活かした成長戦略を考える
17 今までのやり方に固執していないか?
完璧主義の人は、今までのやり方に固執する。
上手に力を抜く人は、新しいやり方を試してみる。
SAPというドイツのソフトウェア会社は、マイクロソフト(Microsoft)、オラクル(Oracle)に次ぐ、世界3位の会社です。この会社に、世界7万人の中TOP2%に7年連続で選ばれ続けた金田博之さんという方がいます。今日は彼の本の中にあったエピソードについて語ります。(なぜかリンクを付けられなくて、興味のある方はぜひamazon.co.jpにて検索してくださいね)
1年目、一流大学を卒業してきた同期が花型業務に就く中、彼はセミナー運営管理業務を担当しました。その業務は、彼の希望していた業務内容とはかけ離れたルーチンワークでした。
しかし、彼はふて腐れず、与えられた場所で最高の仕事をする決意をし、踏襲されている業務フローがなぜこの手順になっているのか、もっと他に良いやり方があるのではないかと模索したのです。
そして、業務改善したところ、手作業で一週間かかっていた業務をたった数分にまで短縮でき、コストも大幅に削減できました。しかも、そのほかの業務のツールとしても役立ちました。
この工夫により、彼は1年目にして社長賞を得たのです。
新しいやり方で変化領域に飛び出す
人は変化を恐れ、現状維持を好みます。
だから、ちょっとしたことでも慣れ親しんだ場所、人間関係、仕組み、やり方に固執します。さらに完璧主義の人であれば、失敗を恐れるので、変化を避ける傾向が強いのです。
そのため、今までのやり方が古く、非効率になっていて、周りが新しいやり方に移行しても、自分だけは古いやり方にしがみ付いていることがあります。
まずは、スケジュール管理の手帳を変えてみる、ノートの取り方を変えてみるなど、小さなやり方、工夫から始めてみましょう。小さな変化を生み出すことに慣れると、どんどん変化への恐怖と不安は少なくなっていきます。
また、新しいやり方を工夫すると仕事は創造性にあふれて、楽しいものになります。
今やっている仕事が退屈でマンネリ化しているなら、新しいやり方を試して、60分かかっていた仕事を40分で終わらせる工夫をすると良いでしょう。新しいやり方を試すことは、日常の業務でも、圧倒的な成果を手にすることができる可能性を秘めています。
日頃から少しずつ、新しいことに挑戦していくことをお勧めします。
実践
1、常に新しいやり方を考える
2、1日ひとつ、新しい改善をする(1%の改善)
特集 – 現状領域とは?変化領域とは?
現状領域とは、変化のない世界、安心で安全な領域です。(ネット用語では「同温層」と言いますね)
例えば、「自分の能力の範囲で確実にできる仕事をこなす」「いつもと全く同じ行動パターンを繰り返す」「気心の知れた仲間と過ごす」などです。
すごく快適で安心ですが、ずっと安住すると退屈さや成長感のなさも同時に味わってしまいます。
一方、変化領域とは未知の世界です。
例えば、「まだやったことのない初めての仕事」「自分の能力を最大限発揮してもうまくいくかどうかわからない挑戦」「これまでとは違った世界の人との出会い」などです。
この領域に進むには、失敗のリスクや恐怖、不安がつきものです。居心地はとても悪いのですが、この領域にこそ成長があります。(あくまでも私の見解です)
第三章 「失敗を恐れず」行動する
18 石橋を叩いて渡っていないか?
完璧主義の人は、石橋を叩いて渡る。
上手に力を抜く人は、見切り発車する。
「週末起業を始めたい」と、二人の方が私の”副業コンサルタント”友人(実は弓道仲間)のところに相談に訪れました。
一人目のAさんは、メーカーの経理部に務める慎重な性格の持ち主の方でした。
始めたい事業を決めた後、全てのことに対して、「まず情報を集めてから」「良いやり方を勉強してから」と慎重です。
ホームページ作成、ブログ・メルマガ発信、セミナー開催と、事業を軌道に乗せるにはやることが目白押しなのですが、一向に進みません。
一方、Bさんは自動車関連メーカーの事務の方で、思ったらすぐに行動する人です。
未経験のことでも試行錯誤しながら進んでいきます。
ホームページは、モデルとなるサイトを1日で絞り込み、業者に発注しました。ブログはとりあえずタイトルを決めて、雑な記事ではありますが、毎日の習慣としてスタートを切りました。セミナー開催は、とりあえず日程と会場を押さえてしまうという行動の速さです。
さて、1年後、どうなったでしょうか?
Aさんは、ようやくホームページを完成させましたが、ブログは始まって2ヶ月足らずでページビュー30ぐらいです。メルマガに至っては、良いタイトルが考え付かないと言って、まだスタートしていません。セミナーは、「話すのが苦手」という理由で開催をずっと躊躇しています。
Bさんには、すでに収益が生まれていました。
この1年でセミナーは5回開催、毎回の参加者数は5名前後と少数ですが、その後のコンサルティングサービスの契約に繋がっています。
また、メルマガもブログも習慣化しているおかげで、メルマガの登録者は500を超えていました。最近では1件、雑誌社(ニューメディア;新媒体)から取材の依頼も来て、メディア実績も生まれたそうです。
完璧主義は挑戦に弱い
この例の通り、完璧主義思考の人は、リスクや失敗に敏感な傾向があります。
定型業務をミスなく終わらせるには、プロセスに忠実な完璧主義思考は有効なのですが、自分の能力を超える未知な仕事の時は、時に見切り発車することが必要です。
見切り発車で動き、トライアンドエラーを繰り返すことで道はどんどん拓けていくかもしれません。
実践
1、まずやると決めて、とりあえずスケジュールに入れる。
2、まず試しで動いて、本格化させる。
19 いきなり完璧を目指していないか?
完璧主義の人は、いきなり完璧を目指す。
上手に力を抜く人は、まず叩き台を作る。
とあるビジネス書で拝読した話ですが。
元・タカラトミー(TOMY Company, Ltd.)勤務で、入社1年目に貯金箱「人生銀行」を企画し大ヒットさせた、現在はフリーのプランナーとして活動中の遠藤千咲さん。彼女は雑誌『日経ウーマン』が主催する「ウーマンオブザイヤー2008」に輝きました。
あるインタビューで大ヒットの企画を作るコツを遠藤さんに聞きました。その時に教えてくれたのが、企画は、まず「ふわっと作る」ということです。
「ふわっと企画を作る」とは、企画の大枠を作ったらあえて詳細は作りすぎずに、大枠を基に上司やメンパーと話をするということです。
遠藤さんは「頑張り屋の後輩で、細かい部分まで一生懸命作ってくる子がいますが、変更したり、アドバイスをするのが忍びなくなる。それよりは緩く出してくれれば、アイデアを提案する余地があってアドバイスしやすい」とおっしゃっていました。
叩き台は完璧に作りすぎないほうがいいということですね。時間もかかりますし、修正や詳細を作る時間も削られます。また、大枠だけ緩く作っておけば、相談相手もアイデアを出しやすくなります。
プロトタイプ思考でいこう
同じことが、他の仕事でも言えますね。
例えば、上司に報告書を依頼されたとします。完璧主義の人は、細かい部分まで作らないと伝わらないのではないかと不安になり、つい時間をかけて作ってしまします。そして、期限直前に上司に提出したものの、「こうじゃないんだよね」と言われたら、徹夜で一気に修正ということになります。
上手に力を抜く人は、先ほどの遠藤さんの例と同様、簡単に叩き台を作って調整します。
必要なのは、叩き台を作るときに、大枠と詳細を明確に区別して、詳細は省く勇気です。同時ても細かい部分に目がいきがちですが、概略が伝わればいいのです。
こうして、叩き台をブラッシュアップしながら、進める考え方を、「プロトタイプ(Prototype;試作品)思考」と言います。
メーカーでは、本製品にする前に試作品を作り、事前に方向性をすり合わせます。
そうすれば、相手の希望を確認でき、力の入れどころと抜きどころがわかるからです。
実践
1、叩き台は30%ぐらいの緩さにとどめる。
2、プロトタイプ思考を持つ。
20 一発勝負で考えていないか?
完璧主義の人は、一発勝負で考える。
上手に力を抜く人は、確率論で考える。
勝間和代さんは、著書『「有名人になる」ということ』(ディスカヴァー)で、次のように「じゃんけんの法則」について提議しています。
様々なチャレンジは全て確率論です。すなわち、確率が低い勝負出会ってもそれを繰り返し行っていけば、いつかは負ける確率が下がってどこかで勝てるのです。
ただ、多くの人はそのような努力を50回、あるいは100回は続けません。しかし、もしチャレンジしても特に失うものがなければ、勝負をし続けることです。
そうすれば必ず勝てます。私は多くの有名タレントや有名経営者にインタビューする機会を得ましたが、本当に、全ての人に共通するのが、
この「じゃんけん、じゃんけん、またじゃんけん」の精神です。
私は、最初のブログを書き出す際に、サーバー選びや文章の下書きなど、十何名の友達に意見を聞いてみました。(ただいま引越し中ですが、11年以上「日本弓道」をテーマにしたブログを書いて現在に至ります)
その結果、何名の友達から意見をいただき、最初のブログ内容、方向性やサーバーなどを決めました。(後から知ったのですが、中国ではそのサーバーを閲覧するために海外vpnを使わないと見れません。そのため、引越し!)
もともと心理カウンセラーや飲食系経営企画をしてきた私は、確率100%のアプローチはないと考えていたので、確率論で考え、じゃんけんをたくさんしたのです。(少々手前味噌ですが图片)
打ち手を複数持つようにする
完璧主義の人は、一つの打ち手で失敗しないように頑張ります。失敗を恐れるあまり、数を試すことを忘れてしまいがちなのです。
上手に力を抜く人は、一つのことに100%を求めず、失敗も受け入れながら、いくつかの施策を試し、全体でうまくいけばいいと考えます。
ベンチャー企業に投資して、その投資収益で稼ぐことを生業としている、ベンチャーキャピタル(venture capital;風険投資)があります。彼らは、絶対に一つの企業への投資でうまくいくと考えません。
十社があれば、全くダメな会社が中に二社があっても、将来化ける会社が二社あればいいと、複数同時に投資をします。これが、ポートフォリオ思考(portfolio thinking)です。
ビジネスで新しい事業やサービスがうまくいくかどうかは、所詮やってみないとわかりません。新しい仕事のやり方、工夫も同じです。
トライ・アンド・エラー(試行錯誤)なので、やはり確率論なのですね。
実践
1、ダメ元で、まずは小さくたくさん試す。
2、失敗を受け入れ、チャレンジし続ける。
21 心が折れやすくないか?
完璧主義の人は、心が折れやすい。
上手に力を抜く人は、徐々に精度を上げる。
孫泰蔵さん(孫正義さんの実弟)は、ガンホーの創業者で「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ/智龙迷城/龍族拼圖)をヒットさせました。
パズドラをヒットさせるまでには、長い年月がかかっているのですが、そのことはあまり知られていません。
実は、同社は、ケータイゲームの会社がどんどん撤退していった中、開発を根気強く続けたことで成功を収めたのです。
孫泰蔵さんは、これをがっかりタイムを乗り切ると表現しています。がっかりタイムとは、次のようなものです。
努力と成果はすぐに直結すると考えがちですが、実際は努力し、粘り強く続けた結果、一気に成果がで始めるタイミング(ぶっちぎりポイント)がやってくるという発想です。
新しいことにチャレンジしようとする時は、試行錯誤の繰り返しの過程で徐々にうまくいくようになるものです。
だからこそ、その試行錯誤をどれくらい長く続けられるかで、仕事の上達も変わってきます。
少しずつブラッシュアップしていけばいい
仕事では「うまくいかない・・・」という事態とたくさん向き合う必要があります。
完璧主義の人は、今日一日の結果について、「できた」「できなかった」と評価しがちですが、グレーゾーンがないと常に、「できなかった」という自己否定の連続で疲弊してしまいがちです。そして、途中で投げ出してしまいがちでしょう。
特に、自分のマインドやスキルを大きく変えたり、仕事のやり方を変える場合、成果が出るまでに時間がかかる場合があります。今、一つ一つがうまくいかなくても、学び続けば、必ず少しずつ前進していきます。
一ヶ月、三ヶ月、半年、一年、三年、五年と継続したらどうなっていくか、想像してみましょう。
小さな一歩でも、続けていけば、掛け算効果でどんどん成果は拡大していくのです。だからこそ、少しずつ磨き上げていくことが重要です。
小さく生んで、徐々に磨き上げていく、長期戦の発想を取り入れてみてください。(すこし時間がかかりますけれど)
上手に結果を出す人は、1ミリでも進んでいることを喜び、成果が出るまでにはがっかりタイムがあることを踏まえ、ただ淡々と努力を続けます。
そういう人が、ぶっちぎりポイントを迎え、周りと圧倒的な差をつけるのです。
実践
1、ブラッシュアップ思考を身につける
2、ぶっちぎりポイントまで耐える
22 どうしようもないことに悩まれていないか?
完璧主義の人は、どうしようもないことに悩む。
上手に力を抜く人は、自分のできることに集中する
私は以前、NYにてあるレストランに所属する店員20名のコンサルティングをしていました。この店舗は、商品ラインナップが少なく、市場で少し不利な状況に置かれていました。さらに、店員に課せられる目標は前年比で30%以上アップしていて、不満が蔓延する状況だったのです。
一人一人のと対談していくと、消極的な人と積極的な人に二極化していました。(そこには文化や国事情の相違がありますが、とりあえず見逃しましょう)
消極的なグループは、頑張る気持ちはあるものの、不平不満でモチベーションが圧倒的に低下していました。彼らは、「商品自体が悪い」「オーナーの目標がめちゃくちゃだ」という部分に目がいっていたのです。
一方、積極的なグループは、置かれた状況の中で自分たちが何をするか、何ができるかを徹底して考えていました。そのうちの一人に不満はないのかと聞くと、次のように答えました。「それは確かにあるけれども、他店舗も同じような悩みを抱えているからね。そんなことより、この環境で相手にどれくらい圧力をかけるか、他店舗との違いをどのようにアピールするかを考えた方が生産的ですよね」
これが思考習慣の違いです。オーナーの方針や商品戦略などは、一人の店員がすぐにどうこうできることではありません。だからこそ、ここに思考の焦点がいくと、不平不満ばかりでやる気が起こらないのでしょう。
当然、成果も、精力的に行動した積極的なグループの人たちのほうが上げていました。
ストレスをコントロールする
まずは、自分の思考が、コントロールできることとできないことのいずれに向かっているかをチェックしましょう。上手に力を抜いている人たちは自分にできることに集中し、どうしようもないことは考えません。
完璧主義の人は、不測の事態や、他人がどのように動くかなどの不確定要素にやきもきさせられます。しかし、他人や外部環境は自分ではコントロールできませんから、本当にどうしようもないのです。だからといって、放置していいわけでもありません。大切なことは、「自分ができることをやる」ということです。
例えば、不確定要素をあらかじめ加味しておいて、代替案や商品を考えておきましょう。そのように情勢やオーナーの方針などのコントロールできない部分に柔軟に適応していってこそ、上手に力を抜く人になれるのでしょう。
実践
1、常に自分の思考の方向をチェックする
2、原因分析に時間をかけず、自分にできることを考える
23 すべてのリスクに備えようとしていないか?
完璧主義の人は、すべてのリスクに備える。
上手に力を抜く人は、大きなリスクに徹底して備える。
下記のすべてはフィクションですが、よくある話です。
システムエンジニア(SE)のAさんは、完璧主義でとても心配性です。リスクに敏感で、トラブルが起きないように小さなリスクにも備えます。プロジェクトメンバーの仕事もミスがないかどうか、念入りにチェックします。
しかし、深夜残業を繰り返した挙句、疲れ果てた目でチェックしたため、とても重要な項目を見逃してしまい、新システム稼働時に初日からトラブルが頻発しました。
Aさんは、自分を責めて挽回しようと頑張りましたが、精神的に限界を迎えて休職することになりました。
一方、上手に力を抜くBさんは、大きなプロジェクトをいくつも抱えながらも、構築したシステムはほとんどトラブルが起きないことで有名です。いつもオフィスを散歩するように歩いている姿には余裕すら感じます。
彼の仕事の仕方を見ていると、大きなトラブルの原因になりうる箇所を念入りにチェックして、多くの社内のアドバイザーに意見をもらっています。いざ、構築するときには、メンバーが作業を間違わないようにチェックリストを作って配布することで、人為的ミスを防いでいました。
このように、大きなリスクがある箇所を集中的に対処することで、トラブルを防ぐことができるのです。
「モグラ叩き思考」は疲弊するのみ
小さなリスクにばかり目がいってしまうと、大きなリスクへの備えができなくなり、盲点が生まれることがあります。
このように小さなリスクや心配の種を徹底して潰すことを「モグラ叩き思考」と呼びたいと思います。(備考:モグラ叩き = 打地鼠)
モグラ叩き思考でリスクに取り組むと、視野が狭くなり、すべてのリスクに対して同じ労力で対処に当たるため、疲弊します。
たとえば、資料作成で、誤字脱字チェックに頭がいきすぎて、重要な内容が漏れていることに気づかないといった具合です。誰でも経験したことがあるでしょう。
完璧主義の人は、失敗するリスクへの恐怖からどうしてもモグラ叩き思考で小さな備えをするこおtに敏感です。
上手に力を抜く人は、重要度の高いリスクから優先して対処し、全体の大きなトラブルや問題を未然に防ぎます。
最終的にリスクに対する備えが十分できれば、恐怖心を最小限に収め、新しいことにも挑戦できるようになるでしょう。
実践
1、最悪のリスクを想定する。
2、仕組みやツールをつくり、モグラ叩きを減らす。
特集 – 成長の曲線
当章の21節にて取り上げた孫泰蔵さんの「ぶっちぎりタイム」「がっかりタイム」節があるように、今章の特集もそれについて、さらに心理学の学習理論を軽く踏まえたうえで、すこし掘っていきましょう。
成長を想定するとき、努力をすればすぐに現れるものだと考えがちなので、通常、図のAのような直線的な上昇をイメージするでしょう。
しかし、効果の高い仕事は一定の成果が出るまでに、図のBのような二次曲線的な動きをします。
この想定の成果と実際の成果の差がある期間が「がっかりタイム」です。これは成長のために耐え忍ばなければならない、一見報われない期間です。
しかし、この期間を耐え忍んでこそ、「ぶっちぎりタイム」が訪れます。
つまり、中長期的な視野でプラッシュアップをしていくという思考があるかどうかで、現れる成果は変わってくるのです。

第四章「精神的な余裕」をつくる
24 いつも時間的な余裕がない?
完璧主義の人は、時間的な余裕がない。
上手に力を抜く人は、ゆとり時間をつくる。
最近、とある安倍総理のビデオが多くのwechat groupに流されています。その福利厚生に対して多くの方がきっと羨ましく感じているでしょう?超多忙な日本国の総理大臣は、どのように時間を過ごしているのを興味はないでしょうか?
2013年4月18日、安倍晋三総理が日本テレビの情報番組「スッキリ!」に生出演した際に、視聴者からの質問に答えていました。
平均睡眠時間は6時間。0時に寝て6時に起きるそうです。
夜、時間がある時は海外のテレビドラマを1時間観ると答えていました。「メンタリスト」や「24」を観て、非日常性の中でストレスを解消しているそうです。
確かに、政治の世界で様々な問題や課題を抱えて、巨大なプレッシャーの中で生きている安倍総理にとって、一時的に頭を空にできる良い習慣なのでしょう。
そして、その後、警察小説などの小説を読むのが趣味だそうです。安倍総理が『海賊と呼ばれた男』(百田尚樹・著 講談社)を発売から間もない頃に絶賛されていたのを憶えていますが、あの多忙な毎日の中で、小説を読む余裕をつくっているのです。
そして、そのゆとりは自動的に生まれているわけではなく、意図してつくっている のでしょう。そうしなければ、政治・経済において国家の運命を決する判断が鈍ってしまうからではないでしょうか。
ゆとり時間が効率を上げる
安倍総理の責任の重さや業務量を考えれば、私たちが余裕を持てないと主張するのは少し気が引けます。
しかし、実際、完璧主義の人は、いつもバタバタして時間に追われています。ゆとりを持つぐらいなら、その前にちゃんとやるべきことをやってしまおうというマインドがあるからです。追い立てられているという表現が正しいかもしれません。
一方、上手に力を抜ける人は、安倍総理のようにしっかりとゆとり時間をつくります。時間的なゆとりと精神的なゆとり両方です。いろいろと見てきた優秀なビジネスパーソンも、多忙な中でゆとり時間をつくるのが上手でした。そして、それが精神的な余裕になり、冷静な状況判断につながっていました。
忙しい毎日にも、ふと安らげる時間をつくりましょう。「お笑い番組を観る」「お風呂で湯船に浸かって好きな漫画を読む」(Kyoはお風呂が大好きですが、北京の自宅にはなくて残念です…)などで良いのでしょう。このゆとり時間が、きっと自分自身や状況を客観的に眺めるきっかけになるでしょう。
実践
1、時間的なゆとり時間をつくる。
2、精神的なゆとり時間をつくる。
25 自分を許していないか?
完璧主義の人は、自分を許せない。
上手に力を抜く人は、自分にOKを出せる。
完璧主義思考の人は、上司にミスを少し指摘されただけでも、自分が全面否定されたかのように感じて「自分はダメだ」と自分嫌悪に陥る傾向があります。
一方、上手に力を抜く人は、「まあ、ここは仕方ないか」「そういうこともあるよな」「やり方を失敗したな。次は変えよう」と自分を過度に責めません。これは決して自分を甘やかしているわけではなく、適切な範囲内で反省し改善している のです。
私は、キャリアコンサルティングを行なっていますが(まだ生半可だが)、続かない人の大半は完璧主義思考が強い人で、自己否定をしすぎる傾向にあります。
例えば、「朝早起きして1時間ジョギングする」と決めたとします。しかし、三日後、飲み会が原因で朝起きられず、四日目は雨で実行できなかったとします。こうなると、完璧主義の人は2日できなかったことへの自己嫌悪感で、「やっぱり自分は続かない性格だ」と自分を責めて、挫折してしまします。続けたくなくなるのは、できない自分と向き合い続ける毎日が苦しいからです。
一方、上手に力を抜ける人は「昨日は飲み会で帰りが遅くなったのでジョギングはできなかったけど、電車ではせめて立とう!」とか、雨が降ったら「軽く家の階段を昇り降りしたら良しとしよう」と、小さなことを続けて、自分にOKを出します。(上記はあくまでも私たちのような一般人の場合を示しています)
結果、柔軟に継続できます。
不完全な自分を丸ごと受け入れよう
頑張りすぎるスタイルの人は、常に自分に厳しい言葉を浴びせ続けます。
私たちの心のつぶやき(セルフトーク)は1日3万回も生まれています。
「こんなのではダメだ」
「もっとちゃんとやれ!」
「全力は尽くしたのか?」
これは、自己否定をすることで、頑張るモチベーションを作り出している心の仕組みです。
しかし、客観的に文字にしてみると、実に厳しい言葉を投げかけています。その根源には次のような自己否定があるため、自分を責めてしまうのでしょう。
「自分は不完全だ。だからもっと頑張らなければいけない」
「人よりも努力しないと同じ結果は出せない」
しかし、完璧とは幻想に過ぎません。もともと人間は不完全なものです。その不完全さを受容した時に、等身大の自分を受け入れることができるのです。
実践
1、行動のハードルを低く設定し、小さなOKを出す
2、自分の中に存在するすべての面を丸ごと受け入れる
26 すべて「自分のせい」だと落ち込んでいないか?
完璧主義の人は、すべて「自分のせい」だと落ち込む。
上手に力を抜く人は、「自分のせい」だけではないと割り切れる。
下記のすべてはまたもフィクションですが、よくある話です。
システムエンジニアのAさんは、とても頑張り屋です。しかし、プロジェクトのリーダーとして半年がかりでシステムの導入を終えて、いざ稼働し始めると次から次へとトラブルが起きました。
それから三ヶ月間、全責任は自分にあると思って、Aさんは徹夜を重ねながら必死に対応しました。しかし、トラブルは収束に向かわず、ついに体力と精神の限界を迎えて、精神疾患になり休職することになりました。お客様にも会社にも多大な迷惑をかけてしまったという自責の念から、精神的に潰れてしまったのです。
一方、同じ部署のBさんも同時期にシステムトラブルを抱えていました。
情報システムというのは往々にしてトラブルがつきものです。Bさんは経験からそれを想定していました。また、「起きたものは仕方がない。今に集中して全力を尽くすだけだ」とトラブルの問題を一つ一つ切り分けていき、1ヶ月後にはシステムを安定稼動させたのです。そしてBさんは疲れた表情も見せず、別の三つのプロジェクトを淡々と進めていきました。
この二人は何が違ったのでしょうか?
責任をやたら背負わず心の安定を得る
Aさんは一見、責任感が強くてよさそうに見えますが、システムのトラブルが起きるたびに全ての責任を背負い込む思考は決して好ましいとは言えないでしょう。なぜならば、精神的ダメージが大きく、よく眠れない日が続き、対応への集中力を失っていたからです。結果、二次的な失敗を犯してしまう可能性も大きでしょう。
さらに、受け持っていた他のプロジェクトのケアが疎かになり、そちらでも大きな火種を抱える事になるでしょう。
一方、Bさんは、精神的なダメージがそれほど大きくはありませんでした。なぜならば、自分の責任範囲をむやみやたらと広げすぎなかったからです。
システムトラブルが起きた原因は、構築したSEのリーダーだけにあるわけではありません。現場でプログラミング作業を行うSEのミスもあります。その上司にも責任があります。また、営業や機器メーカーにも非があるかもしれません。
リーダーはそれを想定して構築すべきですが、それでも全部自分の責任と抱え込まなくていいのでしょう。
実践
1、責任範囲を細分化して、一人で抱え込まない。
2、感傷に浸る暇があれば、できる事を考える。
27 義務感で自分を動かされていないか?
完璧主義の人は、義務感で自分を動かす。
上手に力を抜く人は、ワクワク感で自分を動かす。
数年前まで私は海外旅行に行く際、必ず事前にプランを作ります。
しかし、そのプランに基づいて旅行をすると決めると、プランにあるすべての場所に行かなければ気が済まなくなります。(よくある場面でしょう。。。)
本当は楽しむため、リラックスするために海外旅行に行っているはずなのに、自分の決めたプランを減らすことができず、折角の良い景色が目の前にあっても、次の場所へ出発しなければと焦ってしまう。。。
本末転倒なのですが、義務感で動いてしまうメカニズムの罠から抜け出せなくなってしまうのでしょう。
義務感で動くと、楽しいはずのものも辛い作業になり、多くのエネルギーを使います。こんな経験が皆さんにもあるのではないでしょうか?
上手に力を抜く人は、「旅行はあくまで楽しむもの、刺激を得るもの」とテーマを決めて、プランを作ります。プランそのものをゆるく作っておき、現地で良い景色の場所があれば、そこに留まり、いい雰囲気のカフェが見つかれば一時間ぐらいお茶をします。
本来の目的である「リラックスと非日常生の体験」というテーマを持って、旅行プランを柔軟に変更して楽しむのです。
義務感ではなく、ワクワク感を持つ
プロセスをきちんとこなすことに集中する完璧主義の人は、一度決めたらその内容を「すべきこと化」してしまい、柔軟に変更することが苦手です。決めたことに縛られ、義務感で自分を動かしてしまうのです。
好きな仕事や得意な仕事でも、「納期やプロセスをいつまでにクリアすべきか?」と義務化して自分を追い込みます。この場合、精神的にも余裕やゆとりはありません。このように言っている私も、好きな仕事のはずなのに、がんじがらめで追い込まれている感をふとか抱いたことが多々あります。
一方、上手に力を抜く人は、「楽しい」という気持ちを、うまくモチベーションに変えながら仕事を進めるので、ストレスが少なく集中力も高まり、生産性が向上します。
これが義務感とワクワク感の原動力の違いです。
プロセスを楽しむためには、先の不安を一度脇に置いて、目の前のことに100%集中することです。タイマーで時間制限を設けると、設定している時間よりも先のことを忘れ、今の作業により没頭できます。
実践
1、今日の楽しみな仕事を設定しておく。
2、プレッシャーから解放されるよう、タイマーを設定する。
28 100点か0点かで考えていないか?
完璧主義の人は、100点か0点かで考える。
上手に力を抜く人は、グレーゾーンで柔軟思考をする。
ある候補者(責任者クラス)に、早起きの助言をした時のことです。
セッションで「普段は10時出社ですが、来週は五日間、朝8時に出社します」と宣言されました。
一週間後、「どうでしたか?」と聞いたところ、「いやー、全くダメでした。情けないですよ」と言われたのです。そこで、「5日とも、10時に出社したのですか?」と聞いたら、「いえ、1日だけは5時に出社しましたが、残り4日は10時に逆戻りです」と自己嫌悪感でいっぱいでした。私は、1日だけは起きられた要因を尋ねました。すると、「1時間早く寝たこと」「前日に深酒をしなかったこと」を挙げました。さらに一日早く出社して感じたメリットを聞きました。その候補者は、上司や社員の朝礼の姿を見ると、会社の全体の様子と個人の状況が一度にわかるのでよかったと答えていました。
「それでは、来週は2日だけ8時出社にしたらどうですか?」と提案しました。
「えっ、2日でいいんですか?」
と気分良くセッションを終えて帰られました。(実は二人で酒を飲みに行ったのですが。。。)
候補者は翌週、2日どころか5日間すべて8時に出社しました。
自分を「白黒の思考習慣」から解放しよう
この場合の問題は、「5日間すべて8時に出社できるか」「できないか」の2つにひとつで考えてしまい、1日できたという前向きな変化があったにも関わらず、「0点」と自分を責めていたことです。
完璧主義思考の中でも、特に「二者択一の判断」の傾向が強い人は、100点か、0点かで考えます。認知心理学の世界では、これを白黒思考といいます。
白黒思考の特徴は、白でなければ、黒だと判断する極端さです。
完璧でなければ意味がないと考えるのです。それがモチベーションにもなりますが、自分を追い込んでしまう思考であることも事実です。
いざ、大量の仕事が押し寄せてきた時や、新しい仕事を手探りで進める時には、白黒思考は精神的に大きな負担になります。
また、白黒思考のデメリットは、小さな成果や成長した自分を認めないために、最終的に自己嫌悪になったり、チャレンジ精神を失うことです。
長く仕事をする上では、小さな成長を見つけること、自分を許し認めることが重要なのでしょうね。
実践
1、満足度を数値化し、グレーゾーンを見出す。
2、小さな成果でも成長を喜ぶ。
29 念のためにとモノを溜め込んでいないか?
完璧主義の人は、念のためにとモノを溜め込む。
上手に力を抜く人は、余分なモノはどんどん手放す。
下記の一部はまたもフィクションですが、よくある話です。(しかし、"私"の部分は本当に筆者自身でございます・・・)
图片
デスクの上にはどんどん書類が溜まっていく。引き出しも、もういっぱいで置くところがない。雑然とした仕事環境では、モノを探すのに一苦労。探す時間だけで、1日どれくらいの時間を消費しているのだろうーーーこれが5年前の私でした。
「念のため、取っておこう」
「捨てた後で後悔したくないから」
こんな心の声に負けて、どんどんモノが溜まっていきました。
一方、上司のデスクはいつもモノがなく、すっきりとしていました。片付けの心得を聞いてみると、
「必要になったら、お前たちに聞けばいい」
「情報は頭の中に入れておいて忘れたらまた手帳から引けばいい」
「必要なモノはすぐにファイルしているよ」
要はその場で、取捨選択が的確にできていたのです。
手放すことが最善主義のトレーニングになる
取捨選択とは、辞書で意味を引くと、「悪いモノ、不必要なモノを捨てて、良いモノ、必要なモノを選び取ること」とあります。仕事ができる人は、取捨選択の達人です。
まず、捨てるためには、必要なモノを選び取る判断力が重要です。そして、捨てる勇気と習慣もなければ、モノや仕事の枝葉末節を全て抱え込み、精神的、空間的余裕がどんどんなくなっていきます。
完璧主義の人は、念のためにと全てを取り込もうとするあまり、選択の基準が明確ではありません。
そこで、仕事の取捨選択と通じるところがある、モノを捨てる行動を通じて、心身ともに整理された状態を保ちましょう。
まずは、デスク周りをすっきりさせて、空間的余裕を作ってみてください。
捨てる強制力を持たせるために、週に1回、捨てる日を作るといいでしょう。「これは念のため・・・」と思ったら、「念のためとは何が起きることをそう手しているのか?」「それはどれくらいの頻度で起きるのか?」「捨てて問題になるとしたらどんなことか?」と自分に問いかけます。そして、どんどん手放していくのです。
取捨選択思考は、思考習慣です。旅行に行く際などに鞄を一回り小さく制限することでも、力を抜くためのトレーニングになります。
実践
1、週に一回の捨てるデーを作る。
2、鞄を小さくする。
特集 – 円グラフ法を使って責任を分散させる
当章の26節にて取り上げた頑張り屋でシステムエンジニアのA、Bさんの話があり、今回の特集もそれについて、さらに心理学の認知療法を軽く加え、少々掘っていきましょう。
心理学の認知療法の世界に、円グラフ法というものがあります。
円グラフ法とは、責任や不安の要因を全て洗い出し、円グラフにその割合を記入していく方法です。
例えば、当章の26節に登場する、「全て自分の責任だと考えるAさん」と、「自分の責任は限定的だと考えるBさん」の責任のマインドジェアは、下の図のようになります。(数値はあくまでもご参考まで)


もし失敗して精神的なダメージを受けていると感じた場合は、円グラフ法を用いて、客観的に責任(ストレス)を分散させると良いでしょう。
順番は、まず自分以外の人の責任から埋めていき、最後に自分の責任を埋め、さらに、自分の責任を少し細分化して書いてみましょう。
いかがですか。自己分析にも使えます。良いでしょう。
第五章「他人の力」を上手に活かす
30 他人の失敗に厳しくないか?
完璧主義の人は、他人の失敗に厳しい。
上手に力を抜く人は、他人の失敗に寛容である。
下記の9割はまたもフィクションですが、よくある話でしょう。(しかし、下記の“A部長”の部分は実に筆者自身の反省事でもあります…)
ある金融機関に、2人の部長がいました。
A部長は、理想主義かつ厳格な人で、この会社の中で一番厳しいことで有名です。
「小さなミスが大きなミスに発展する!一事が万事だ!」
「気の緩みがミスにつながるんだ」
「なぜ、もっととことん努力しないんだ」
などと、いつも部下の努力不足やミスに苛立ちを感じています。
部下は、A部長を恐れて緊張感のある中で仕事はしているものの、恐れからミスを隠したり、主体的に動く姿勢をなくしています。
「うちの部下は主体的な提案や行動が少ない!」とA部長は嘆いています。
しかし、部下の立場からすれば、挑戦して失敗したら叱責されることを考えると、リスクを取って行動することには躊躇します。
このA部長の環境下では、言われたことをきちんとこなす人は育っても、主体性のある人は育たず、結果、A部長は怒り続けることになります。
一方、B部長は、人を育てるのが上手なことで有名な人で、叱るべきミスと、許容すべきミスを区別しています。
ミスの報告を隠したり、お客様への失礼な態度があった場合は厳しく叱責する反面、報告書の分かり辛さなど些細なことには寛容で、優しく改善方法を伝えます。
また、積極的に挑戦した末の失敗は、その姿勢をしっかりと褒めて、良かった点と改善点を伝え、最後はモチベーションが高まるように促します。
結果、B部長の部下には主体的に動く人が多くいます。
自分と同じルールで他人を裁くのをやめよう
完璧主義思考、特に「理想主義」の傾向が強い人は、自分に高い基準を要求し、甘えを許さず、妥協をしません。どんなことにも100%、全力投球を目指します。(挙手…)
そして、同じくそれを他人にも求めます。とことん努力しない人が嫌いで、妥協する人を許せず、イライラしてしまう傾向があります。(挙手again…)
完璧主義から最善主義に移行すると、自分が楽になるだけでなく、相手にも寛容になれます。他人にイライラしたり、責めたりすることも減っていくでしょう。
実践
1、叱るべきミスと許容すべきミスを区別する
2、自分と相手とでルールを変える
31 八方美人になろうとしていないか?
完璧主義の人は、八方美人になる。
上手に力を抜く人は、一部の人に圧倒的に支持される。
下記は筆者の経験による実話ですが、フィクション化にしました!
私が勤めていた某NPO団体のA理事は、会議に極力参加しない主義です。出席を依頼しても、
「目的は何?」
「後で議事録を見て情報把握するだけではダメかな?」
「私がいなくても決まるんじゃないの?」
と、明確な目的と必然性がなければ拒否されます。周囲も、最初は悪い印象を持ちますが、徐々にそれがキャラクターだと認識し、必ずしも参加の必要がない会議は依頼しなくなります。
その分、A理事は練習場にいられる時間が長くなり、その時間を技術トラブルの予防や問題解決に使っていました。代謝も早く、それでいながら結果も出していたので、理事長や他委員会からの信頼も厚かったです。
一方、B理事は面倒見が良く、とても優しい方です。お願いされるとノーと言えない性格で、皆が何かと泣きついていました。B理事は、部下や他委員会からの依頼、会議の予定が1日に5つも入っていて、いつもバタバタしていました。関心のトラブル対応さえ追いつかない状況でも、約束した会議にはせめて冒頭だけ参加するなど、八方美人をやめられませんでした。
結果、プロジェクトのトラブル予防などが十分にできず、深夜までいつも残業していました。理事長からの評価も低かったです。
「八方美人は損をする」と心得る
「人に嫌われたくない」。これは正常な人間であれば、誰しも思うことです。しかし、過剰になりすぎると、それが問題です。
「自分のやりたいことが優先できない」
「言いたいことが言えない」
「断れない」
こうして、嫌われないために使う時間が増え、本来の結果を出すために必要な時間がどんどん削られていきます。
完璧主義思考の中でも、特に「否定の恐怖」に該当する人は、人間関係において全員に認められようと頑張りがちです。それゆえ、嫌われたり、批判されるとそれだけで落ち込みます。
上手に力を抜く人は、嫌われること、否定されることをある程度許容します。
新しいことをしようとすると、必ず反対する人、陰口を言う人が出てくるものです。そんな中、本当に支持してくれる人に認められれば良いと割り切るのです。
そのように、「嫌われない努力」を手放すと、時間的・精神的な余裕が生まれます。
実践
1、八方美人にならない。
2、嫌われたり、否定されてもある程度は仕方がないと考える。
32 全員の合意を目指そうとしていないか?
完璧主義の人は、全員の合意を目指す。
上手に力を抜く人は、キーマンへの根回しを徹底する。
下記は筆者の経験による実話ですが、またもフィクション化にしました!
ある先輩は大手製薬会社で営業の仕事をしているので、社内決裁を取る時は本当に苦労しました。一つの決裁に、必要な関係者や、話を通しておく人が20名はいたのです。
完璧主義の先輩は、配属当初、営業部の主任、課長、部長に話を通し、技術部の担当者、課長、部長と回り、企画本部へと順番に一人一人話を通していきました。
結果、一つの提案の合意をとるだけでヘトヘトになっていました。特に説得が大変な人には説明を尽くして、資料を作り直してまた訪問する。こんなことを繰り返して膨大な時間がかかっていました。
(先輩には失礼ですが…)しかし、決裁を取るのが上手な人を見ていると、合意の取り方がまるで違います。一言で言えば、「キーマンを押さえにかかる」のです。
キーマンを押さえると圧倒的に調整が早くなる
社内でも社外でもキーマンと関係ができていると、スムーズに合意を取ることができ、仕事を進めやすくなります。
キーマンと言っても、組織上の役職が高い人とは限りません。人間関係には、役職以外の力関係があり、「あの人が言うなら」と影響力の強い人がいます。
また、その人の性格によって、決裁の相談は先に話を通して欲しいと思う人と、リスク回避から最後の結果だけを持ってきて欲しいと思う人がいます。
のち、先輩は上手に力を抜く人の「決裁の取り方」を観察し、改善をしました。そして、どういう順番で調整すれば全員が納得するのか、事前にシミュレーションをするようになってからは、決裁を通すのが3倍以上も早くなりました。
仮に、一番の難関が技術部の課長ならば、その人が最も信頼を置いている営業部の部長にまず話を通して決裁を得るようにしました。その上で、技術部の課長に話を通しにいくと、「〇〇部長がいいと言ったなら」と楽に合意を得ることができます。また、一気に決裁を取りたい場合は会議を開き、キーマンに予めどのように発言してもらうかを根回ししておきました。
組織・チーム全体を上手に動かすには、影響力のあるキーマンとの関係をよくしておくこと、彼らがイエスと言うツボを知っておくこと、全員の立場を尊重して「頭越しされた」「自分は蔑ろにされた」という感覚を与えないことが大切でしょう。
実践
1、キーマンは誰かを見抜く。
2、キーマンと良好な関係を作る。
33 自分で頑張り続けていこうとしないか?
完璧主義の人は、自分で頑張り続ける。
上手に力を抜く人は、他人の力を上手に借りる。
『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』(高橋政史・著 かんき出版)に、とても興味深い内容がありました。
戦略コンサルティング会社のマッキンゼー(麦肯锡)やBCG(ボストン・コンサルティング・グループ;波士顿咨询)のコンサルタントは、プレゼン資料のデータ作成(PPTでの作業)をインドに外注しているそうです。
彼らはいきなりパソコンに向かってPPT(パワポ)を作ることはなく、プレゼン資料の内容を包含ノートに手書きで「そのままパソコンで清書すればok」な状態まで書きます。
あとは、この下書きを夜、インドにファックスしておけば、翌朝出社した時にインドから美しいプレゼン資料がメールで届いているのだそうです。
PPTで資料作成するには、紙に書く場合の3倍は時間がかかります。
その時間があれば、プレゼン資料の下書きがさらに3本できてしまうということを考えると、いかに自力だけではなく、他力を上手に借りて仕事をしたほうがいいかが分かりますね。
“人に任せる”スキルを磨こう
完璧主義の人にとって、人に任せることは克服すべき大きな課題でしょう。なぜならば、失敗するリスクが怖いだけでなく、任せた人に「自分でやればいいのに」と心の中で思われているのではないかという不安もあるので、自分でやった方が精神的に楽なのです。
しかし、これまで本編で述べてきた通り、高い成果を上げるためには他人に任せて、より価値の高い作業に集中していかなければなりません。だからこそ、任せることを大切なスキルとして捉えるべきです。
最初は、作業を引き継ぐための時間や手間がかかりますが、徐々にその負担が減っていき、完全に任せられるようになると、「阿吽の呼吸」で進むようになります。ここまでは「忍耐」が必要ですね。その前提で任せることを始めるのです。中長期で見れば、その手間は必ず回収できます。
まずは、今ある仕事で、あなたが直接やらなくてもいい仕事、できればお願いしたい仕事を書き出してみましょう。そして初めては60%程度のレベルで仕上がってくることを想定して、提出を早めにお願いするか、リスクが大きな仕事であれば、簡単なことから任せましょう。
実践
1、負担が減ると考え、任せるモチベーションを高める。
2、初めから完璧を期待せず、任せる恐怖を小さくする。
特集 – あなたは白黒思考ではありませんか?
第四章の28節にて取り上げた「100点か0点かで考えていないか?」という話があり、今週もそれを踏まえて、少々探っていきましょう。
「白黒思考」とは、何か物事が起こったとき瞬間的に頭に浮かぶ「自動思考」の一つで、「良いか悪いか」「100か0か」といった、とても極端な考え方です。
パーフェクトではないけれども、すごくできないわけでもない ー グレーゾーンの考え方がないのです。
特に、完璧主義の白黒思考の持ち主は、たとえ少しできなかっただけでも、全部できなかったかのような裁定を下します。そのため、自己嫌悪に陥りやすく、物事も長続きしません。
あなたも下の表のような白か黒か、「二者択一の判断」をしていませんか?
もしそうならば、小さな成果でも認めて、グレーゾーンを受け入れることが、成果への近道となるのでしょう。
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